2017/09/18

Dusseldorf


物欲がなくなってしまった。気が付いたら、なくなってしまったのだ。それ自体、いいことなのか悪いことなのかよくわからない。

なにかもう、高いお金を出して何かを買うということに疲れてしまったのだ。数年前、20万円くらいするレンズを購入したことが嘘のようである。もうそういう消費行動は、僕の人生において今後訪れないような気がする。

しかし物欲がなくなるということは、個人的には、生命力の衰えのような気がしないでもない。あまりこれに喩えたくないが、正直なところ、性欲の衰えと同期しているのだろう。

万年筆に嵌ったと書いたが、万年筆好きの人から見れば、たぶん僕は全然嵌っていない。ラミーのサファリを二本買って、それで満足してしまった。もし「嵌った」のであれば、これからペリカンとか、モンブランとかに進んでいくのだろうが、僕はたとえばペリカンの「スーベレーン」とかラミーの「2000」を買おうかと思って、それから、萎えてしまったのだ。スーベレーンがいくらするのか知らないが、おそらく数万円するだろう。

僕はもう数年で40を迎えるが、年を取ることも悪くない、と思う。「生命力が衰えることも悪くない」と思う。

いろいろな「欲」がある。性欲、知識欲、名誉欲、金銭欲、物欲、ETC。これのほとんどすべてが、若いころに較べて、明らかに衰えた。

そうしてどうなったか?

生きやすくなった。

これは発見だと思う。特に生きやすくなったと思うのは「見栄」を張らなくなったことだ。「見栄」ほど人を不幸にするものはないのではなかろうか?

僕の車はマツダだ。ベンツでもアウディでもBMWでもなくマツダである。しかし断言できるが、マツダは人を幸せにする。それで十分じゃないか?